お腹の赤ちゃん、本当に大丈夫?
「妊娠中の方はお知らせください」
病院で、よく目にするこんな注意。薬の服用やレントゲン撮影で受ける放射線など、妊娠中のお母さんは気をつけることがいっぱい。特に放射線と聞くと分からないことだらけで心配ですね。
放射線が胎児に与える影響は、妊娠中のどの時期にどれぐらいの放射線を受けたかによっても違います。例えば、お腹の赤ちゃんの重要な臓器ができる妊娠初期に一度に100ミリシーベルトを超える量の放射線を受けると、奇形や重度の精神発達の遅れが出ることがあります。
ただ、受けた量が100ミリシーベルト以下の場合、これらの放射線による影響は起こりません。
一般的な歯のレントゲン撮影は約0.01ミリシーベルト、胸のエックス線検査は0.06ミリシーベルト(1回)ですから、少なくとも私たちが病院などの一般的な検査で受ける程度の量は、全く心配ない量であることがわかりますね。
また、妊娠前に、一度でも放射線を受けると、将来生まれてくる赤ちゃんに影響があると心配している方も少なくないと聞きます。
しかし、それは誤解なのです。
これまで、原爆で放射線を受けた人から生まれた子どもの他、仕事で放射線を受けた人、自然放射線が高い地域に住んでいる人などを対象に、多くの調査が行われてきましたが、妊娠前に放射線を受けた人から生まれた子どもに、遺伝的影響があったという例は、見つかっていません。
思い込みや誤解は、ときに自分やまわりの人たちを傷つけることもあります。
誤った情報に振り回されないためにも、放射線を正しく知り、冷静に考えることが大切ですね。